メディカルトピックス
はやり目(流行性角結膜炎) 〜ヒトからヒトに感染し拡大してしまうこともある怖い病気〜

感染後10日間ほどの潜伏期を経て発症
 いわゆる「結膜炎」とは細菌、ウイルス、アレルギー、カビ、紫外線、ハウスダスト、ごみ、摩擦、花粉などによる炎症です。その中でもウイルス性結膜炎は感染力が非常に強いので注意が必要です。プール熱(咽頭結膜炎)、急性出血性結膜炎、はやり目(流行性角結膜炎)などがあげられます。
 その中でもここでは、はやり目について注目したいと思います。はやり目はアデノウイルスが原因となり、感染後、10日間ほどの潜伏期を経て発症します。目やに、涙、充血、まぶたの腫れ、異物感、かゆみ、痛み、まぶしさ、耳前リンパ節の腫れ、発熱などの症状がみられます。非常に重篤な症状を引き起こし、ヒトからヒトに感染し拡大してしまうこともある怖い病気です。

感染した場合の注意点 
 家族、周りの人が感染した場合の注意点として、完治するまでは手をよく洗う、目薬を使い回さない、感染した人が触ったものを触り、目をこすったりしない、タオル類は家族と別にする、お風呂は最後に入る、涙や目やに等を拭いたティッシュはビニール袋に入れてまとめて捨てる、プールなどはお休みするなどの対策が必要です。とにかく感染が広まらないことが大切です。  場合によっては周囲の人にうつさないために仕事や学校を休む必要があります。現在のところ、この病気に対する特効薬も予防薬も有効なものがないため、多くの人に感染します。対処として、炎症症状を和らげるためにステロイド点眼薬や抗菌点眼薬を使用します。

完全に治るまで気を抜かないで
 症状自体は1~3週間くらいで治まりますが、重症な場合や十分に休息が取れていない場合は1ヶ月以上かかることもあります。その時に治療を中断したり、放置しておくと合併症がおきることがあります。症状が落ち着いてから角膜が濁り(角膜混濁)、モノを見る瞳の中心に濁りが残ると、かすみ、見えにくさ、光が反射して見えるなど、視力に障害が残るケースもあります。赤ちゃんの場合は、まぶたの腫れが強く、目から出血することがあります。また、発熱や食欲不振などの症状がでて、黒目が濁ることがあるため、注意してあげてください。

できるだけ早めの診察を
 充血や目やにと安易に考えずにできるだけ早く診察を受け、治ったかどうかは自己判断せず、必ず眼科専門医に的確な診断をしてもらってください。普段から汚れた手で目をこすらないようにし、手洗いを習慣づけ、少しでも普段と違うなと思ったら眼科外来へご相談ください。

眼科 視能訓練士 小笠原 一恵
(監修:フェニックス 眼科 クリニック 院長 医師 鈴木 水音)

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