メディカルトピックス
2020年各症例数のご報告

2020年は新型コロナウイルスにより健診や外来を控えられている傾向が見られました。がんや各疾病は早期発見が重要です。ご自身のお体のために、感染対策をした上で受診を通常通りしていただきたいと願う結果となりました。(2020年1月〜12月)

がん症例数 総数155例

2020年は新型コロナウイルスにより医療も大きな影響を受けました。日本対がん協会によると2020年にがん検診を受けた人が前年よりも3割減ったとする調査結果が出ています。そのような状況下、新型コロナウイルスに対する感染症対策等を模索しながら皆様の健康を守るそんな1年でした。

私達の心配は、健診や精密検査の遅れからがんの発見が遅れ、大幅にがん発見症例が減るのではないかというものでした。しかし蓋を開けてみると、例年と遜色ない発見数となりました。この結果に、少しだけ胸を撫で下ろしました。内訳は、例年と比べると乳腺の数が増え、呼吸器の数がやや減りました。婦人科(乳腺・子宮・卵巣・外陰)、消化器、泌尿器、呼吸器の順でした。

病気を速やかに発見し、早期発見・早期治療につなげられるよう引き続き努めて参ります。どんなことでも、気になる症状がある方はぜひご相談ください。

外科部長 医師 小島 健司

 

婦人科子宮がん検診異常症例数 総数242例

2020年は新型コロナウイルスによりがん検診を控える動きが全国的に見られました。元々日本はOECD(経済協力開発機構)加盟国30か国の中でも最も低い子宮がん検診の実施率と言われています。婦人科がんは何よりも早期発見が重要です。この新型コロナウイルスに伴う検診控えは、当院においても一時的に起こりました。現在、受診者数は急激に回復しており、その中でたくさんの異常を発見することができました。一年間の傾向として来院を控えていた方に進行がんがより多く見受けられ、検診の重要性を再認識させられる結果となりました。どうぞご自身の安心のためにも、引き続き子宮がん検診を受けていただければと思います。

理事長 医師 賀来 宗明

産婦人科部長 医師 兵藤 博恵

 

頭部MRI症例数 総数3099例

2020年の頭部MRIの検査件数は新型コロナウイルスの影響で昨年の1割減となっていますが、逆にコロナの影響がありながらも昨年比90%弱の検査を施行したとも言えると思います。当然のことながら、感染症が蔓延しても感染症以外の疾患が減るわけではありません。おそらく多くの方が日常生活および食生活の変化を経験したと思います。ステイホームで運動不足になったり、食べ過ぎなどで健康を害した方もいると思います。このような時期だからこそ、自分の身体を点検する良い機会ではないでしょうか。健康には体の健康だけでなく、MRIで脳を撮影することによってわかる脳神経領域の健康も含まれます。現在の脳の状態を知り、将来脳梗塞や脳出血などの病気にかからないための生活習慣を心がけることは、コロナ重症化のハイリスクと言われる基礎疾患の予防にもなります。ステイホームで生活が変化した方や思い当たる事がある方は特に、脳ドック受診をお勧めします。

放射線科医師 五味 達哉

 

腹部MRI(MRCP)症例数 総数489例

腹部MRI検査は、おもに胆道・膵臓の精密検査で行っております。特に膵がんのリスクファクターとしての膵のう胞を重視し、腹部超音波検査で異常を拾い上げてリスク評価し、積極的にMRI検査へとご案内しております。

〔膵がんの危険因子〕

①家系に膵がん患者がいる→親、兄弟姉妹、子供に膵がん 患者がいれば4.5倍以上

②糖尿病がある→約2倍

③肥満がある→BMI35以上で2.6倍

④慢性膵炎がある→13倍

⑤膵のう胞がある→22倍(膵管内乳頭粘液性腫瘍=IPMN のみならずIPMNと診断されない膵のう胞についても膵 がんの高リスク群として慎重な経過観察が必要)

⑥喫煙習慣がある→1.7倍

⑦大量飲酒→1.2倍

⑧歯周病がある→1.6倍

糖尿病、肥満、喫煙、大量飲酒、歯周病のようにご自身で対策を講じられるものもあります。また膵がんは特異的な症状に乏しいですが、腹痛(訴える症状の6割前後が腹痛)、背部痛、早期膨満感、体重減少などがあれば放置せずに早めにご相談ください。

外科部長 医師 小島 健司

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