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定期接種化されたHPVワクチン
日本でのHPVワクチンは2010年度から公費助成がスタートし2013年に予防接種法に基づき定期接種化されました。しかし接種後の多様な症状が報告され、2か月後の6月には積極的勧奨の一時差し控えが発表され2022年4月に至るまでの9年間はHPVワクチンの定期接種は停止状態となっていました。
再開された現在も、9月2日付の朝日デジタルでも伝えられたようにHPVワクチン対象者であることを知らない(3割)、積極的勧奨再開を知らない(5割)というのが現状です。
子宮頸がんが排除できる可能性
HPVワクチンは全世界の多くの国々で認可され2020年3月の時点で90か国以上において国の予防接種プログラムとして取り入れられています。公費助成による国のプログラムとして早期取入れをしてきたオーストラリア、イギリス、アメリカ、北欧などの国々ではワクチンの標的とする型のHPV16、18(子宮頸がんの原因の50~70%)の感染率の劇的減少がみられています。
世界においては2019年に子宮頸がん年間調整罹患率(世界共通の人口モデルで補正した罹患率)の今後の予測モデルでは、現行の子宮頸がん検診を継続するのみでは子宮頸がんの罹患率は減少しません。9価HPVワクチンで80%以上として、生涯2回の子宮頸がん検診を70%以上の女性が受ければ先進国は2060年までに、開発途上国も今世紀中には子宮頸がんが排除できる可能性があることが示されました。
安全性と有効性について
9価ワクチンは子宮頸がんの原因となるHPV型を中心に9つの型をターゲットとしており、これらのうち7つの型は子宮頸がんのみならず女性の膣がんや男女ともに外陰がん、肛門がん、中咽頭がんなどの原因となります。9価ワクチンの安全性・有効性についてはWHOからも認められており、オーストラリア、アメリカなどではいち早く認可され定期接種ワクチンとして行われています。
日本における9価ワクチン
9価ワクチンは日本での承認は2020年7月でしたが、2023年4月にようやく定期接種(小学校6年生から高校1年生相当の女子)が導入されました。定期接種同様に2024年度までは1997年度生まれまでがキャッチアップ接種にも公費負担が適応されます。年齢によっては3回ではなく2回接種でも十分に効果が得られるとされています。 日本のHPVワクチンの接種率は世界に比べてかなり低いものであり、子宮頸がん排除からは程遠い現状ですが、ワクチン接種と検診による子宮頸がんの予防と排除を目指して多くの女性の未来を守る一助となりましたら幸いです。
看護課 婦長 看護師 田中 香
参考資料
ヒトパピローマウイルス感染症~子宮頸がんとHPVワクチン~ https://www.whiw.GO.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/index.html 日本対がん協会 HPVワクチンについて https://www.jcancer.jp/about_cancer_and_checkup/hpv-vaccine もっと知りたい子宮頸がん予防 https://www.shikyukeigan-yobo.jp/treat.ments/ 海外のHPVワクチンエビデンス https://www.msdconnect.jp/products/gardasil-shilgard9/column/gl-hpw-evidence/
3種類いずれも、1年以内に接種を終えることが望ましい
※1. 1回目と2回目の接種は、通常5ヵ月以上あけます。5ヵ月未満である場合、3回目の接種が必要になります。 ※2-3. 2回目と3回目の接種がそれぞれ1回目の2ヵ月後と6ヵ月後にできない場合、2回目は1回目から1ヵ月以上(※2)、3回目は2回目から3ヵ月以上(※3)あけます。 ※4-5. 2回目と3回目の接種がそれぞれ1回目の1ヵ月後と6ヵ月後にできない場合、2回目は1回目から1ヵ月以上(※4)、3回目は1回目から5ヵ月以上、2回目から2ヵ月半以上(※5)あけます。
【参考】 日本における定期の予防接種 実施者数:2019年2) 1.9%
用法および用量
9歳以上の者に、1回0.5mLを合計3回、筋肉内に注射する。通常、2回目は初回接種の2ヵ月後、3回目は6ヵ月後に同様の用法で接種する。
※WHOおよびUNICEF共同報告書により毎年報告されるデータに基づく。世界99ヵ国における国別のHPVワクチン接種プログラム推定接種率(2019年)よりG20を抜粋した。接種完遂率を示すが、接種スケジュール(回数・接種間隔)は各国によって異なる。インド、サウジアラビア、中国、トルコ、ロシアおよびEU加盟国のうちオーストリア、クロアチア、チェコ、ギリシャ、ポーランド、ルーマニア、スロバキアは、推定可能なデータなし。