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未だに続く新型コロナとの戦い
2023年5月8日に新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の感染症法上の位置付けがインフルエンザと同等の5類感染症に移行し、早くも1年以上が経過しました。感染者数は5類感染症移行後も増加と減少の波を繰り返し、2024年7月26日からパリで開催された夏季オリンピックでも選手の感染が相次ぐなど、新型コロナとの戦いは未だに続いている状態です。
新型コロナは発症2日前から発症後7~10日間程度は感染性があり、特に発症後5日間は他人に感染させるリスクが高くなっております。発症日を0日目として5日間は外出を控えていただき、5日の間に症状が続いていた場合は症状が軽快してから24時間程度が経過するまで外出を控え様子を見ることが推奨されています。また、学校保健安全法施行規則においても、「発症した後5日を経過し、かつ、症状が軽快した後1日を経過するまで」を新型コロナによる出席停止期間としています。
同居家族が新型コロナに感染した場合には感染拡大を防ぐために可能な範囲で部屋を分けるのが望ましいですが、部屋を分けることが難しい場合には2m以上の距離をあけて仕切りなどで生活エリアを区切り、定期的に換気、手洗いを行ってください。食器や洗濯物を洗うときは一緒でも構いませんが、トイレなど共用部分の使用は最小限に止め、タオルは専用のものを用意し、よく手の触れる部分はこまめな消毒をして下さい。入浴は感染した方が最後に入るようにしてください。
症状と治療薬
症状は風邪やインフルエンザと似ているため判別が難しいのですが、新型コロナの主な症状としては発熱、咳、のどの痛み、だるさであり、鼻水、下痢、味覚障害、嗅覚障害も起こします。最初にのどの痛みやだるさから始まる傾向があり、飲み込みにくさを感じることもあります。発熱やのどの痛みは3、4日で治まり、1週間以内に症状が軽快、2週間もすれば完治している方が多いです。しかし発症してから3ヶ月以上を経過しても改善しない場合には新型コロナの罹患後症状(いわゆる後遺症)の可能性があります。
外来診療において処方される治療薬はラゲブリオ、パキロビッドパック、ゾコーバがありますが、新型コロナに感染した全ての方に薬が処方されるわけではありません。高齢者や基礎疾患がある方など重症化リスクがあり、医師が必要だと判断した場合に限り薬が処方されます。これらの治療薬はウイルスの増殖を抑制することで症状の緩和や重症化を抑えることが目的です。ラゲブリオとパキロビッドパックは重症化予防効果がありますが、ゾコーバはなく、症状の早期改善効果があります。(下記に治療薬の比較を記載)
感染症法上の分類は引き下げられ、厳格な感染対策は求められなくなってきておりますが、新型コロナはまだ我々の元を去ったわけではなく、いつ再び感染拡大するかわかりません。感染を防げるわけではありませんが重症化の予防として可能な限り新型コロナワクチンを接種していただき、手洗いとマスクで感染予防に努め、もしかしたらと思ったら早めに医療機関にお越しいただくことで、新型コロナと戦っていきましょう。
内科医長 医師 中村 裕子