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ジカウイルス感染症は蚊に刺されることによって感染する疾患であり、病原体として、フラビウイルス科フラビウイルス属のジカウイルスによる蚊媒介感染症を指します。
発生状況として、アフリカ、アジア太平洋地域、南米が流行地で、日本では、海外において感染し帰国する症例(いわゆる輸入症例)が、2013年以降10例発見されており、そのうちの7例は今年2月以降に確認されたものです。海外では、過去2013年にポリネシアで1万人を超える流行があったほか、ブラジルやベネズエラなどの南米で、今期多くの患者が発生しています。
感染経路として、ネッタイシマカとヒトスジシマカといったウイルスを保有する蚊に吸血されることでヒトへと感染し、ヒトからヒトへの直接感染は、極めて稀ですが、母子(胎内)感染、献血や性交渉による感染も指摘されています。ヒトスジシマカは日本のほとんどの地域に生息し、国内の活動時期は概ね5月中旬から10月下旬ごろまでです。
症状として、デング熱ほど強い症状は示しませんが、酷似した症状を示し、軽度の発熱(<38.5℃)、頭痛、関節痛、発疹、結膜炎などを示します。また、発熱の頻度は36~65%と必ず起こる症状ではない為、ジカ熱ではなく、ジカウイルス感染症と称しています。潜伏期間は2~12日で、デング熱等と同様、不顕性感染が報告されています。重症化や死亡事例はありません。一方で、ギランバレー症候群、妊婦が感染すると胎児に影響する可能性(小頭症との関連)が指摘されており、ブラジルとアメリカの研究チームは今年、ブラジルでジカウイルスに感染した妊婦42人の超音波検査を行い、約3割にあたる12人に異常が見つかったと報告しています。このうち5人の胎児は小頭症を含む発育不全で、脳血流などに異常があるケースも見つかりました。
治療として、ワクチンは存在せず、特異的な治療法はなく、対症療法が主体で、もちろん有効な抗ウイルス薬もありません。
予防法として、蚊との接触を避けることですが、国内で感染が拡大するリスクは高いと云えず、流行地域へ渡航する場合は、長袖・長ズボンを着用したり、蚊の忌避剤(虫よけスプレー等)を使用したり、蚊に刺されないように注意して下さい。特に、妊婦の方は、流行地域への渡航は控えた方が安全でしょう。
今後の具体的な注意点として、感染者の精液に長期間ウイルスが検出されることが判明していることにより性行為感染症に注意することが必要となり、流行地域からの帰国者は症状の有無にかかわらず、蚊に刺されないための対策を、少なくとも2週間程度、特に注意を払って行うことが推奨され、流行地域から帰国した男性は、症状の有無にかかわらず、最低8週間、パートナーが妊婦の場合は妊娠期間中、コンドームを使用するか性行為を控えることを推奨します。